牧陽一の日記です。

埼玉大学 人文社会科学研究科 牧陽一の授業内容です。表紙は沢野ひとしさんの中国語スタンプです。

班忠義監督『太陽がほしい』 観るべき映画

6月9日、東大駒場でベルリンに亡命している作家 廖亦武の講演があった。

その時に、かねてから会いたいと思っていた 授業でもよく使っている映画『亡命』(2012)の翰光=班忠義監督に会うことができた。

9月5日にアップリンク渋谷で『太陽がほしい』を見た。日本軍に性暴力を受けた女性たちを20年、臨終までずっと追いかけた作品だ。あいちトリエンナーレの「少女像」が展示中止になる事件が起きて、日本軍の性暴力、そしてそれを表現する自由が問題になる昨今、ミキ・デザキ監督『主戦場』とともに観るべき映画だと思う。そして日本軍のやったことを知り、これからの平和のために生かすべきだ。歴史をしっかり受け取って、韓国や中国の方々の苦しみを知って、今後、日本人は私たちはどういう付き合い方をするべきか考える。無かったことにして思考停止してはいけない。誰でも失敗した過去を思い出したくはないだろう。だが知らないふりをしてはいけない。失敗は失敗だ。二度と戦争を起こさないように、未来に生かすことこそ、死んでいったあの方々も望んだことだと思う。それにしても、臨終の床にまで追っていくカメラは凄かった。池谷薫監督の『蟻の兵隊』で病床の宮崎参謀が唸るシーンを思い出した。だが一人の女性の苦しく悲しい生涯を追っていく面で、いっそ訴える内容は強いと思った。国を超えて性を超えて多くの人々に観てほしい作品だった。

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太陽がほしい