牧陽一の日記です。

埼玉大学 人文社会科学研究科 牧陽一の授業内容です。表紙は沢野ひとしさんの中国語スタンプです。

香港問題

1限 中国語 12課を復習して13課を行いました。

2限 研究基礎 劉さん日本語教育異文化理解、高さん谷崎潤一郎細雪」、徐さん森鴎外「雁」。問題意識は明確なので、テーマに沿った論文を収集し、整理検討すると良い。

3限 休み

4限 香港問題 

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少林サッカー 

第11章 香港

「買い物天国」のこれまでとこれから

ヴィクトリアピークからの夜景

広東語の喧騒、西洋人ビジネスマン 買い物天国 東西ブレンドされた独特の文化

 

香港の歴史 第二次大戦まで

香港島島嶼部 九龍半島新界 

香港の都市としての歴史は170年 人口一万人の小さな農村、漁村

1840 アヘン戦争 1841 イギリス香港を領有 1842 清朝降伏 南京条約 イギリス植民地 1898 九龍半島の99年租借条約

船舶会社 経済都市 1930年代中国への日本の侵攻、混乱→ 知識人香港へ 抗日活動

1941 日本軍香港へ侵攻 英語に変えて日本語強制 軍票乱発 経済混乱 160→60万人

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香港地図

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香港地下鉄図2019 元朗7・21 太子8・31 襲撃事件


 

香港の歴史 第二次世界大戦

日本の敗戦→ 再びイギリスの支配下

1949 中国共産党 中華人民共和国  共産党政権を嫌い、仕事を求めて中国から流入

イギリス外資企業、香港系企業 世界のビジネス街へ

人口一人当たりのGDP宗主国のイギリスを抜く

イギリス総督 香港市民に政治参加の手段はなかった

香港人は金儲けばかり考え、政治に全く関心がない」

中国鎖国状態 「中国と世界を結ぶ窓口」中国のニュース 香港メディア→ 西側

文化人類学者、民俗学者 香港でフィールドワーク

1984 サッチャー 鄧小平 中英共同声明 1997・7・1 香港返還

返還後は自由を失い経済的にも衰退するだろう

香港脱出 カナダ、アメリカ、オーストラリアへ 1989 六四天安門事件の記憶

民主化運動、愛国教育

一国二制度 特別行政区

2014年香港反政府デモ

 

ja.wikipedia.org

2019年-2020年香港民主化デモ

 

ja.wikipedia.org

共産主義者の本性とはつまり強烈な権力欲をもっていることであり、香港の主権を取得したのち、みずから定めた規則にもとづき、香港内部の事柄に干渉せずにはいられなくなった。23p

2019年6月から9月、256件の自殺案件と2537件の「遺体発見」案件があった。抗議活動参加者が林鄭月娥政権によって虐待死された事件が、必ずしも法的に正しく「処理」されていないことは、香港ではすでに都市伝説ではなく、共同認識となっている。29p

 

2020年6月30日、全国人民代表大会全人代)常務委員会会議で「香港国家安全維持法」(以下、国家安全法)が施行され、香港基本法を踏みにじった

《彼が香港で見たのは、英植民地主義者によってもたらされた制度が、徐々に「人権を尊重し、個人の自由を尊重し、法律制度を重んじ、人民はたんに言論、結社、出版の自由を十分享受しているだけでなく、政府を監督する一定の自由と権力を有するところまで変化した」》

英国は一〇〇年あまり香港を統治したが、香港人に英国を愛せよと要求したことは一度もなかった。返還前、香港人はいわゆる高等華人や香港の英当局が育成した高級公務員を除き、一般市民は英国に対しなんの感覚ももっていなかったと言うことができる。//香港人は過去に英女王を「事頭婆」(女主人)と呼び、英国国歌の歌詞を「個個揸住個兜」(一人ひとりが物乞いのお椀をもって)につくりかえ、英国の経済不振を皮肉った。》

香港人は、中共と親中共分子のいわゆる「愛国愛港」が、われわれの理解するような憲法・法治・制度を愛することではなく、中国への愛でもなく、香港への愛でもないことを見て取った。愛国愛港の「港」は脇添え(引き立て役)であり、いわゆる愛国の本当の含意は「愛党」であり、党を愛さないことはすなわち国を愛さないということである。われわれが見てきたのは党が国をめちゃくちゃにしたことであり、「愛党」から利益を得る以外、あなたのどこを愛せと言うのか、ということである。》

そして、香港人はかつての植民地時代の旗を取り出すようになる。

《龍獅旗を再び掲げる意義は、香港独立をおこなおうということではなく、香港市民に対し、香港の真の「愛港」精神を呼び覚ますことであり、愛国と相入れない精神、すなわち植民地時代の精神(自由、法治、核心的価値や勤労奮闘の精神を含む)をはらみ育てるように促すことである。我われがこれを守ろうとするのは、われわれが愛したこれらのものがすでに愛党愛国によって徐々に侵蝕・破壊され、その結果、香港がますます可愛げのないものに変わったからである。》

李怡『香港はなぜ戦っているのか』

「中国の香港政策に口出しするな」「植民地時代はもっとヒドかった」のウソ

「愛国と批判」の精神が輝いていた ふるまい よしこ 現代ビジネス2020・7・14

gendai.ismedia.jp

 

岡田晃『香港―過去・現在・未来』 中嶋嶺雄『香港回帰―アジア新世紀の運命』

『もっと知りたい香港』 久末亮一『香港―「帝国の時代」のゲートウェイ

『香港社会の人類学―総括と展望』 ワトソン『移民と宗族―香港とロンドンの文氏一族』

日本占領期『日本占領期香港の子どもたち―学びと暮らしのオーラルヒストリー』

和久田幸助『日本占領下 香港で何をしたか』 パッテン『東と西』

返還前 バルケ『香港の声』 可児弘明『香港の水上居民―中国社会史の断面』

倉田徹『中国返還後の香港―「小さな冷戦」と一国二制度の展開』

 

倉田徹、倉田明子『香港危機の深層 「逃亡犯条例」改正問題と「一国二制度」のゆくえ』

周保松、倉田徹他『香港雨傘運動と市民的不服従一国二制度」のゆくえ』

ジョン・M・キャロル, 倉田 明子他『香港の歴史――東洋と西洋の間に立つ人々』

李怡『香港はなぜ戦っているのか』

 

ビジネス・経済から見る香港

1989年代 90年代前半 四小龍 戦後上海から繊維工業

レッセ・フェール 自由放任主義 関税かからない 難民の安い労働力 労働集約型

1970年代 国際金融センター

香港ビジネス スピード 独立起業、柔軟で機敏

邱永漢 戦後台湾独立運動 香港へ 実業家として成功

李嘉誠 大陸から香港に移住 プラスティック造花 華人最大の資産家 香港ドリーム

『同じ釜の飯―ナショナル炊飯器は人口680万の香港でなぜ800万台売れたか』

浜下武志『香港―アジアのネットワーク都市』 西原哲也『秘録華人財閥―日本を踏み台にした巨龍たち』

 

香港映画・香港文学

ブルース・リー 李小龍 ジャッキー・チェン 成龍 香港映画 カンフー、ワイヤーアクション 「少林サッカー」→ ハリウッド映画

チョウ・ユンファ男たちの挽歌」 香港ノワール

中国語圏文学 金庸 武侠小説

野崎歓『香港映画の街角』 邱淑婷『香港・日本映画交流史―アジア映画ネットワークのツールを知る』 松岡環『レスリー・チャンの香港』 知野二郎『香港功夫映画激闘史』

 

香港人は「なに人」か?

ブルース・リー 父は広東人、母はドイツ人の血を引く華人、公演で渡米中にサンフランシスコで生まれるアメリカ国籍 香港で育つ 香港人?イギリス人?中国人?アメリカ人?

華人

アイデンティティの複合性揺らぎ 中国人?→ 香港人 2012愛国教育 抗議活動

本土意識

 

旅する香港

重慶マンション 九龍城 猥雑なイメージ 

沢木耕太郎深夜特急1香港・マカオ』 香港、インド・デリーからロンドンへ

星野博美『転がる香港に苔は生えない』

小柳淳『香港ストリート物語』 内藤陽介『香港歴史漫郵記』切手から

平野久美子『食べ物が語る香港史』 日野みどり『香港・広州菜遊記―粤の国の胃袋気質』

山口文憲『香港 旅の雑学ノート』 島尾伸三『香港市民生活見聞』

 

マカオ 澳門

16C初め ポルトガル人 1555年定住始まり 15C アフリカ周りで海洋進出 1513広州付近到着 明朝は海禁政策 密貿易 マカオ 南蛮貿易 イエズス会の宣教師 マテオ・リッチ 東南アジア東アジアの宣教師報告書マカオ

17C オランダ、イギリス マカオイエズス会解散 本土へ囚人として移送 聖ポール天主堂1835焼失 落日

ホテル・リスボア カジノ 1999 中国へ返還 特別行政区

東光博英『マカオの歴史―南蛮の光と影』 島尾伸三マカオで道草』 芹澤和美『マカオノスタルジック紀行』

香港出張のこと 牧陽一の日記20150909