昨日は午後に思い立って、2つの美術展をはしごした。まずは中央線から竹橋、竹橋から地下鉄乗り継いで六本木。帰ったのは8時頃だった。
高畑勲さん、2015年8月21日、ポレポレ東中野、三上智恵監督「戦場ぬ止み」のトークショーを聴いた。
平成狸合戦ぽんぽこも住民運動を描いているということを伺って、作品に込められた「思想」に思いいたり感銘した。今回の展示も漫画映画の草創期から、携わってきた多くの作品の内に込められた思いが絵コンテのあるいは企画書の文字ににじみ出ていた。原画なども多く見ることもでき、作品の厚さを感じた。動画は絵の集まりなのだということも、再確認できた。それにしても素晴らしい作品をたくさん残してくれたと思う。ありがとうございました。
塩田千春さんの作品は泥まみれの巨大なドレス、2001年の横浜トリエンナーレが最初だった(「皮膚からの記憶」)その時のスケールに圧倒され、ずっと記憶に刻まれていた。中国の女性アーティスト尹秀珍も参加していたと思うが、女性性へのアプローチ、拘泥或いは乖離の面で大きく違いが出てくるのだなと思った。魂は肉で血で、魂は清らかで気高く汚れている。泥のような液体を浴びる映像「バスルーム」1999や血管が体を覆っていく「ウォール」2010を見て思った。赤い毛糸、黒い毛糸、旅行鞄、古い靴などの素材の使い方は先に上げた尹秀珍に共通する女性性の表出に見える。さらにそれは血や肉、皮膚という肉体そのものに向かっていく。ここだ。ここが分岐点。オペラの舞台美術や実験音楽など音楽とのコラボも面白いと思った。