4月30日、『上海CCAA中国当代芸術賞15年展』の開催20分前に、2008年の終身最優秀賞(傑出成就奨)受賞者、および第1-3回評議審査委員であった「艾未未(アイ・ウェイウェイ)」の名前が会場の壁から消された。 さらに一ヶ月後の5月23日、北京798ユーレンス現代美術センター(UCCA)でオランダ人の中国現代美術研究者、戴漢志(ハンス・ファン・ダイク)についての展覧会『戴漢志 Hans Van Dijk ハンス・ファン・ダイク(1946-2002):5000の名前』展が開催された。しかし先の『CCAA中国当代芸術奨十五年』展と同様に艾未未の名前が隠された。案内状の写真からも艾の姿は切り取られた。艾未未はこれに抗議して作品を撤収した。
10月23日:艾はメルボルンの国立ビクトリア美術館で開催される『Andy Warhol – Ai Weiwei』展(12月11日-2016年4月24日)で展示する作品制作のために、LEGO社に大量のブロックを注文したが、同社から「政治的、宗教的、差別的、品位を乱したり、中傷的である」創作物に使用されることは容認出来ないという理由で提供を断られた。艾の作品は劉暁波や浦志強ら世界の「政治犯」と見なされた人々の肖像をレゴブロックでつくるものだ。艾はLEGO社が販売を拒否したことについて、「検閲と差別に当たる」と非難した。また、艾はレゴブロックをトイレに流す写真や、髪や髭にブロックをぶら下げた写真をインスタグラムに掲載。車を使ってレゴブロックの集積所をつくり、人々から不要のブロックを集め始めた。
不在をキーワードにして中国、韓国、日本の作品を比較検討する。まず岳敏君の「無人の風景シリーズ」と小泉明郎の「空気シリーズ」を取り上げて、その影の持つ不可視性について考察する。さらに空っぽの椅子の表象に注目し、キム・ウンソン & キム・ソギョン「平和の碑」から対話への希望と不戦へのメッセージを見出す。また不戦の具体的な意図を銃の表象に求め、小沢剛「ベジタブル・ウェポン」や尹秀珍「時尚恐怖主義」に共通する危機感を考察する。最後には二重の不在である毛同強「我有一個夢 I Have a Dream」を取り上げて、不可視的な観念の世界で結びあう可能性がある事を指摘する。
[2] 榮榮(ロンロン)「北京東村」(張洹(ヂャン・ホアン)のパフォーマンス)1994年 Dislocation Volume 7 New Beijing Photography : Hong Kong 1997
張洹(ヂャン・ホアン)のパフォーマンス「12平方メートル」1994年3月31日Gao Minglu(高名潞)< Inside out- New Chinese Art> San Francisco Museum of Modern Art, Asia Society Galleries, University of California Press.1998
1994年6月14日、馬六明(マァ・リウミン)、朱冥(ヂュー・ミン)が逮捕され、同月30日には張洹(ヂャン・ホアン)が頭部を殴打される。<Rong Rong's East Village> Chambers Fine Art New York 2003/5
[3] 馬六明(マァ・リウミン)「FISH CHILD」1996年撮影:榮榮(ロンロン) <Rong Rong's East Village> Chambers Fine Art New York 2003/5