牧陽一の日記です。

埼玉大学 人文社会科学研究科 牧陽一の授業内容です。表紙は沢野ひとしさんの中国語スタンプです。

Don't follow the wind(DFW)風を追うな サテライト展 「Non-Visitor Center 展」+「艾未未展」北京2015

現代アート覚え書き 2015 : 北京・香港・東京後半+中国における初の艾未未の個展開催は艾未未事件の句読点なのか?
巨大地震と大津波にいつ晒されてもおかしくない日本列島に 54 基もの原発を建設し、日々稼働させていたことに由来する。私たち日本列島に棲む者にとっては美術館「ノン・サイト」という架空の抽象的な空間、美術をめぐる安住の地は存在しない。
椹木野衣はアースワークを提唱したロバート・スミッソンの「サイト」「ノン・サイト」の概念を用いて DFW 展を説明するが、最後には「ノン・サイト」の概念が日本列島という環境には通用しないと指摘し、現実を痛烈に批判している。とすれば、この美術展は「被災者に寄り添う」などというなまやさしいものに止まらず、原発再稼働への批判を根底に持つ社会的意義の深い表現であることが明らかとなってくる。
艾未未は四川汶川大地震で倒壊した校舎の下敷きになって亡くなった子どもたちの名簿をつくり、現在も毎日子どもたちの誕生日を記念している。そして手抜き工事の校舎の問題を提示し続けている。艾未未がこの展覧会に参加した事には、その問題点を追及する姿勢に共鳴したからだろう。