牧陽一の日記です。

埼玉大学 人文社会科学研究科 牧陽一の授業内容です。表紙は沢野ひとしさんの中国語スタンプです。

中国の庶民は政権に欺かれていることを分かっている 11月の日記

11月、中国の女子テニス選手の彭帥さんがSNSで、中国共産党の最高指導部だった張高麗・前副首相に性的関係を強要されたと告発した。その後当局の監視の下なのか、明らかにはされていない。一方10月には中国の著名ピアニスト、李雲迪が、買春容疑で北京で拘束された。彭帥さん事件の調査は全くされていない。本人が事件は無かったことといっている、(なぜか)IOCバッハ会長との対話が公開された。本来これは刑事事件であって、張高麗を処分しなければいけないはずだが、政権は問題をオリンピック開催にすり替えた。性的道徳問題で、ピアニストは処罰され、元副総理はノータッチだ。これまで散々政権は道徳的優位を宣伝してきた。2013年8月にも1200万ものフォロアーを持っていたオピニオンリーダー薛蛮子が、買春の疑いで北京で身柄拘束された。こうした事件は庶民を代表する人気者を見せしめにして、党の優位を見せつけるものであり、同時に自由な文化人の口封じに使われた。常套手段だ。だからこんなやり方に庶民は慣れている。

今回は正に逆で、党幹部がいかに腐っているかが明らかとなり、面目丸つぶれだ。権力を使った性的虐待は売買春よりよっぽど罪が重いのは周知のとおりだ。政権はいよいよ信用できない存在であることが明らかだ。ではなぜ中国庶民は何も言わないのか?それはもちろん、この独裁政権の管理の恐ろしさを知っているからだ。と同時に言うことをきくふりをしている。だから政権は党幹部により性的虐待をオリンピックの無事開催という問題へとすり替えるこんな茶番を世界に向けて晒してしまった。問題をすり替えて逃げる。恥だ。だから庶民は政権に欺かれていることを分かっている。やはり強かなのだと思う。(政権間の争いというのは読み過ぎだろう石平、やらせならこんなに慌てない)

さて10月から11月、月曜1,3限、水曜2,4限の授業と金曜会議など。土日に編入や推薦の入試業務、人事関係会議、ほか入試会議などがあった。11月22-30はむつめ祭などで授業はなく、李さんの修士論文を読み、添削。よく書けている。明日12月1日から再び授業。

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2015ウォーホル&アイ・ウェイウェイ