春休暇の間、様々な映画や本を見てきたが、本から本、漫画、音楽、演劇、現代アートへと派生する意味で、読書が一種の学びのプラットホームになる。研究は研究者の方法でも何でもなく、あらゆる表現者の方法であることは自明だが、特にこの本をきっかけとする広がりは大きいものだった。コロナで外に出ていく機会が少ない分、学びのエネルギーを蓄積する面でも、この本の意義は大きかった。
戦争を知らない表現者たちの歴史実践 戦争を未来にも起こりうる出来事として捉え、それを乗り越えるための次の実践を提案している。つまりポストコロニアリズムの状況に対して、変化しないとあきらめるのではなく、戦時下を超えて、新たな関係性をつくろうとする。
大川史織、映画「タリナイ」『マーシャル、父の戦場ーある日本兵の日記をめぐる歴史実践』みずき書林2018
まず、小泉明郎、皇室や天皇をテーマにした「空気」シリーズで注目していたアーティスト。私の「不在」と東アジア現代アートでも言及していた。小泉は日本人とか同胞意識よりは同時代性と結びつけていく方が大事であるといい、「歴史や戦争といった、リアリティを感じにくくなっているものを、いまの現実にどう落とし込んでいくか。自分はきっと、そんなことをやろうとしているのです。」と述べている。
諏訪敦、見ることの質の問題を提示し、調査や取材の重要性を指摘する。父の満洲体験を追う。見ることをどこまで拡張できるのか。
武田一義、その行為がいかに「しかたのない」ことだったのか、を漫画として叮嚀に描く。登場人物を好きになればなるほど、傷は大きくなる。せめていい傷のつけ方をしたい。
ペリリュー ―楽園のゲルニカ― 10 (ヤングアニマルコミックス)
遠藤薫、「あらゆる事物が時間と共に損なわれるということをよいことだと思いたい。」布の存在感、蚕を飼うことから始め、沖縄、東南アジアを調査する。
土門蘭 物語を書くためにルーツと向き合う、「自分の中に〈恨〉がある。だけど苛立ちやわだかまりが自分にとっての財産だと思っている」
戦争と五人の女 | 土門蘭 |本 | 通販 | Amazon
後藤悠樹 彼女をそこに置いて行ってしまうような 彼女たちの人生を肯定したかった
小田原のどか 「発見され続けることを恐れないことの記念碑が必要だ。恥ずかしさに耐え続けることの記念碑が。」
畑澤聖悟 「青森みたいな田舎では、演劇人を輩出する機関はほとんど高校の演劇部だけです。」
庭田杏珠、渡邉英徳 記憶の解凍、色の記憶をたどる。