艾未未は僕の知っている限り正義感が特別強い人ではないと思う。正義が空しく、それを語れば気恥ずかしい、それを十分わかっている人だと思う。だが四川汶川大地震の調査をするに従って変わっていったのだと思う。地震で子供を亡くした親たち、もう生きていく意味もなくなったその悲しみに接するうちに、人間の核心に触れたのだ。政府が犠牲者の名前さえ公表しないことは人間を人間と認めないことに等しい。四川政府の学校建築費のピンはね、手抜き工事は殺人に等しい。艾未未はやるべき調査をやっていたにすぎない。当たり前のことをする人間を迫害する政府など有っても仕方がない。無くなればいい。
1998年艾未未と牧陽一