牧陽一の日記です。

埼玉大学 人文社会科学研究科 牧陽一の授業内容です。表紙は沢野ひとしさんの中国語スタンプです。

ではなくて給与カットの説明を聞くために埼玉大学へ

それで考えたこと。
55歳以上1.5%カットについて 牧陽一
今回の人事院勧告にある55歳以上1.5%給与カットについて考えてみた。埼玉大学で該当する人は職員4人、教員120人だという。55歳以上にした理由は民間企業ではこの年齢が特に給与が高いから、そこに合わせるという方針である。しかし待てよ。大学は、特に教員はそれに当てはまるのだろうか。筆者が就職したのは32歳。大卒就職者より10年遅い。それでも大学教員としては早い就職であった。それまでは大学院の学生。30歳で結婚していたが、アルバイトの年収は二人合わせても100万なかった。部屋代を払うのがやっとである。他は皆一人住まいの安アパートに二人で生活する赤貧さである。もちろん貯金も無い。生きていられるのがやっとである。暖房が無いから、安い豚肉と白菜の鍋で暖まる。仕事にありついて子供がほしかったが、できた時は40だった。55歳というとまだ子供は高校生、もう少し早い人でも大学生。一番お金のかかる時期である。子供があればまだいい方で、研究のために一生独身の方も多い。しかし大体この年齢55歳以上こそが授業や研究も安定して人気も出て学生も多い。卒論など研究指導をする学部生、大学院生も増大するのである。飲み屋で学生に奢ることも増えるのだ。各学会では理事や幹事、学術雑誌の編集委員など、ボランティアの仕事が一番多く、毎日疲れ果て、逆に体力だけは衰えていくのである。筆者も老眼である。そしてやっと普通の生活ができたと思った時には、死ぬのである。悲しすぎる。大学教員に平凡で当たり前の幸せはやってこないのか。大学教員哀歌でもできそうだ。30・40代は勢いでなんとかできるだろうが、この55歳以上が一番辛い時だ。こういう人の給料を減額させるなんて、血も涙もない。なんて酷いことをするのだろう。大学教員は一般企業とは違うのだ。大体、年齢で区切るというのは乱暴で不公平だ。それに一部の人が賛成に回るような仲間割れを誘導する姑息な方法である。筆者は断固反対である。それでも従わざるを得ないと言うなら、他の形でお金を返済すべきである。シニア研究費一律20万円というのはどうだろう。