牧陽一の日記です。

埼玉大学 人文社会科学研究科 牧陽一の授業内容です。表紙は沢野ひとしさんの中国語スタンプです。

5月の日記

4月25日(日)9:46義母阪本政美が96歳で亡くなった。28日お葬式でした。千葉県流山市で、半世紀以上前から、保育園の増設、給食の改善(脱脂粉乳廃止)の運動をしていました。誠実で活動的な生涯だったと思います。棺桶にはたくさんの花束と日本酒。あちらで20数年ぶりに夫の人とわたしの相方と一杯やっているでしょう。

GW明けの授業です。

5月7日(金)1限アカデミックスキルズ3回目 論文の概要をまとめて、論文の構造を知る。

10日(月)1限中国語5課、2限文化論補講、アイ・ウェイウェイのニューヨーク、3限概説文学1西遊記の成り立ち、虎からサルへ 3:30~夢ナビ動画撮影「不在」と東アジア現代アート

12日(水)2限文化論、アイ・ウェイウェイのニューヨーク2回目、3限特講1930年代美人画が毛様式にスライドする 4限演習 呂勝中、徐冰 農民芸術を現代アートに 

14日(金)1限アカデミックスキルズ、論文の要約発表1、5名の発表でした。全員うまくできました。2:00~教授会人事選考委員会選出

17日(月)1限中国語6課 2限特講補講 高橋さん役者絵の研究資料を探す 3限概説文学2駱駝の祥子しあんず

19日(水)2限文化論 デュシャンⅡ 3限特講 女性アートppt 男に都合のいい女 4限演習 蔡国強 政府への協力は仕方のない事か? 国家への貢献は必要なことか?

21日(金)1限アカデミックスキルズ、論文の要約発表2回目、4名の発表でした。全員うまくまとまっていて、論文の構造を把握しています。 

以下は予定

24日(月)1限中国語7課 2限演習補講 3限概説文学3

26日(水)2限文化論 北京東村 3限特講 毛沢東様式 4限演習 王広義 政治ポップ 抵抗の力は失われていく

28日(金)1限アカデミックスキルズ、論文の要約発表3回目、4名の発表

31日(月)1限中国語8課 3限概説7章演劇

 

アカデミックスキルズ2回目

論文を書くこと cinii で調べる 図書館 先生を利用する

剽窃とは? 論文の段取り

論文要旨発表のための共用論文と担当を決めました。次回もテクストを中心に。再来週から発表を始めます。

今日は卒論4本修論3本 紹介しました。

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アジアの報道の自由度 台湾韓国が🇹🇼🇰🇷いい

 

 

月曜、水曜2回目 

月曜1限 中国語 第3課そり舌音の前まで 血ぃー見るで~、手ぇ出して~、目ぇ痛い~、歯ぁ抜けた~ 妈妈骑马,马慢,妈妈骂马

3限 概説 1,歴史 ラストエンペラー

水曜2限 文化論 艾未未の少年時代

www.art-it.asia

3限 特殊講義 中国のプロパガンダ藝術序章 舔菊派画家

chinadigitaltimes.net

4限 演習 星星画会 黄鋭

www.artnetnews.cn

 

 

 

金曜アカデミックスキルズ初回

自己紹介

研究方法とと地域研究

今後の予定:次回は論文の教室、1部 キミは研究て何かを知っているか

共通論文の要約担当を決めます。今日はウェブクラス、メッセージで送信しました。

香港はなぜ戦っているのか? なぜ戦争をえがくのか 紹介しました。

 

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昨日の水曜初回 

2限 文化論 民族差別の問題 多様性を認めていく事 次回からアイ・ウェイウェイ

昼休みは院生メンバーと食事

3限 特殊講義 なぜ戦争をえがくのか アーティスト、ミュージシャン、漫画家、写真家 それぞれの方法 次回から中国のプロパガンダ芸術

4限 演習 不在と東アジア現代アート 民族ということば ウイグル問題へ

アイ・ウェイウェイ年譜 次回から現代アート作家論

以上メモでした。

 

月曜初回中国語と概説

1限中国語、第1課、四声、短母音、二重母音、三重母音、軽声

下着毛毛雨  下边有mao吗? 官僚主义非常美丽

空き時間 ぺ・ジオンさんに韓国語を学ぶ。1,2課

3限 概説 文化とは?開いていくもの 世界を駆け巡る生き物

強大な国家民族資本に抵抗し、様々なマイノリティの側に立つこと

新しい関係性を築くこと

そんなことを話しました。前回、前々回の日記内容です。

人種と民族、ラーメンと拉面、きものと漢服などを例にとって。

久しぶりの対面授業でした。

 

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ラーメン

 

流動性と多様性

網野善彦の逆さ地図を見ると、東海(日本海)が内海で、列島は連なり、日本が孤立した島ではなく、人間を自由に行き来させる連なった場所に見えている。国境や日本民族という概念は、いっそ消滅する。

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網野善彦 地図

また小熊英二は民族ということば自体が中国へ逆輸入された差別用語であることを指摘する。先の戦争で、大和民族を優れた民族に仕立て上げ、侵略を正当化するために作られた差別用語だ。たかが千年程度同じ場所にいただけの人々を民族で区切った。人種は同じだし、文明度でいえば、中国や朝鮮の方が上であるから、新たに大和民族という架空の民族をでっち上げて、自らが優れているという嘘をついた。

日本は台湾統治時期、未開で野蛮な民族を生蕃と呼び、漢民族に同化したものを熟蕃と呼んだ。木山英雄先生によれば、中国には熟蕃ということばはない。中国自体が本家本元であるからだろう。日本はいうなれば漢民族化を本家に代わってやっていたというわけだ。一方中国文学研究者も大きなスパーンでの漢民族化を従属的に進めていはしまいか?特に日本の中国現代文学研究者ポストは、中国古典文学と1:1という割合を中国の大学に合わせて進めている。だが中国の側は中国共産党が意図した党の宣伝を現代文学が担わせるためだった。だが魯迅をまじめに読んでいけば、当然、反体制的な姿勢を学ぶことになり、結果、64天安門事件の学生たちの民主化要求に繋がっていった。党は失敗している。文学がダメなら美術、今は各大学に美術学院を設けてビジュアルからの党宣伝を意図しているようだ。では日本の中国現代文学研究はどうあるべきか。やはり抵抗の姿勢を失ってはいけないのではないか。単に中国の文学の素晴らしさを言うだけならそれは熟蕃に過ぎないだろう。

現在、中国政府は正に未熟な民族を教化し、同化させようとしている。それはウイグル弾圧に明確に表れている。野蛮な民族を漢民族化しているというわけで、多様な意見や宗教、生活スタイルを認めようとしない。全てを一色に染め上げようとする。

林少陽の孫引きになるが、章炳麟の斉物論釈 「斉其不斉、下士所鄙執。不斉而斉、上哲之玄談。」(斉しくないものを斉しくさせるのは愚かであり馬鹿にされる故である。それに対して斉しくないものを斉しいとするのが賢者の優れた選択である)

つまり文学とは「あや」模様であり、それぞれが違うのがいいのである。そして多様なあり方を認め合うことが大切なのだ。強制的にすべてを平坦化することは誤りである。それは体制側の政治に他ならない。マイノリティが自由に生きていけることこそが重要であり、すべてはそこの向かっているはずである。日本自体が元々漢文化のマイノリティなのだから、そちら側につくのは当然のことだろう。

テニスプレーヤーの大坂なおみさんも人と違うことはクールなことだと言っている。そう、その多様性が正に未来への道筋だろう。

小熊英二インタビュー「有色の帝国」の呪縛 『朝日新聞』2020年9月10日(木)13p『九葉読詩会』第6号 2021年3月 参照